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Category: Novels

血笑記

始《はじめ》て之《これ》を感《かん》じたのは某街道《なにがしかいどう》を引上《ひきあ》げる時《とき》であつた。もう十|時間《じかん》も歩《ある》き續《つゞ》けて、休憇《きうけい》もせず、歩調《ほてう》も緩《ゆる》めず、倒《たふ》れる者《もの》は棄《す》てゝ行《ゆ》く。敵《てき》は密集團《みつしふだん》となつて追擊《つゐげき》して來《く》るのだ。今《いま》附《つ》けた足跡《あしあと》も三四|時間《じかん》の後《のち》には敵《てき》の足跡《あしあと》に踏消《ふみけ》されて了《しま》はう。暑《あつ》かつた。何度《なんど》であつたか、四十|度《ど》、五十|...

试读(第一章节选)

Produced by Sachiko Hill and Kaoru Tanaka Title: 血笑記 (Kesshouki) Author: 二葉亭四迷 (Shimei Futabatei) Language: Japanese Produced by Sachiko Hill and Kaoru Tanaka. (This file was produced from images generously made available by Kindai Digital Library) Notes on the signs in the text 《...》 shows ruby (short runs of text alongside the base text to indicate pronunciation). Eg. 其《そ》 | marks the start of a string of ruby-attached characters. Eg. 十三|年目《ねんめ》 ※ represents a Chinese character that is not included in computer fonts. The structure of the character is explained in the following bracket[#...]. Eg. ※[#立+宛] 血笑記 アンドレーエフ作 二葉亭譯 (前編、斷篇第一) …物狂《ものぐる》ほしさと怕《おそ》ろしさとだ。 始《はじめ》て之《これ》を感《かん》じたのは某街道《なにがしかいどう》を引上《ひきあ》げる時《とき》であつた。もう十|時間《じかん》も歩《ある》き續《つゞ》けて、休憇《きうけい》もせず、歩調《ほてう》も緩《ゆる》めず、倒《たふ》れる者《もの》は棄《す》てゝ行《ゆ》く。敵《てき》は密集團《みつしふだん》となつて追擊《つゐげき》して來《く》るのだ。今《いま》附《つ》けた足跡《あしあと》も三四|時間《じかん》の後《のち》には敵《てき》の足跡《あしあと》に踏消《ふみけ》されて了《しま》はう。暑《あつ》かつた。

版本规格

语言日本語
章节7 章
全书字数81,419 词
预计阅读约 6 小时 47 分钟
授权公有领域(Public domain)

以上为本书元数据与首章节选;完整正文见下方章节列表。

Summary

始《はじめ》て之《これ》を感《かん》じたのは某街道《なにがしかいどう》を引上《ひきあ》げる時《とき》であつた。もう十|時間《じかん》も歩《ある》き續《つゞ》けて、休憇《きうけい》もせず、歩調《ほてう》も緩《ゆる》めず、倒《たふ》れる者《もの》は棄《す》てゝ行《ゆ》く。敵《てき》は密集團《みつしふだん》となつて追擊《つゐげき》して來《く》るのだ。今《いま》附《つ》けた足跡《あしあと》も三四|時間《じかん》の後《のち》には敵《てき》の足跡《あしあと》に踏消《ふみけ》されて了《しま》はう。暑《あつ》かつた。何度《なんど》であつたか、四十|度《ど》、五十|度《ど》、或《あるひ》は其以上《それいじやう》であつたかも知《し》れんが、唯《ただ》もう不斷《のべつ》に蕩々《だら〳〵》と底《そこ》も知《し》れぬ暑《あつ》さで、いつ涼《すゞ》しくなる目的《あて》もない。太陽《たいやう》は大《おほ》きく、火《ひ》の燃《も》ゆるやうに、怕《おそ》ろしげで、或《あるひ》は大地《だいち》に近寄《ちかよ》つて、用捨《ようしや》のない火氣《くわき》に引包《ひツつゝ》み、燒盡《やきつく》さむとするのかと危《あや》ぶまれた。眼《め》を開《あ》いてゐられゝばこそ。小さく、窄《すぼ》んだ、罌粟《けし》粒程《つぶほど》の瞳孔《ひとみ》が閉《と》ぢた眼瞼《まぶた》の下《した》に蔭《かげ》を求《もと》めても、蔭《かげ》はなく、日《ひ》は薄皮《うすかは》を透《とほ》して、血紅色《けつこうしよく》の光線《くわうせん》を疲《つか》れ切《き》つた腦中《なうちう》へ送《おく》る。けれども、流石《さすが》に目《め》を閉《と》ぢてゐ...

Chapters

1. Part 1

始《はじめ》て之《これ》を感《かん》じたのは某街道《なにがしかいどう》を引上《ひきあ》げる時《とき》であつた。もう十|時間《じかん》も歩《ある》き續《つゞ》けて、休憇《きうけい》もせず、歩調《ほてう》も緩《ゆる》めず、倒《たふ》れる者《もの》は棄《す》てゝ行《ゆ》く。敵《てき》は密集團《みつしふだん》となつて追擊《つゐげき》して來《く》るのだ。今《いま...

2. Part 2

…蛇《へび》のやうに絡《から》み付《つ》く。現《げん》に其《その》友人《いうじん》が見《み》て來《き》ての話《はなし》に、鐵條網《てつでうもう》の一|端《たん》がプツリと切《き》れて、ピンと跳返《はねかへ》つて、クル〳〵と兵《へい》三|人《にん》に絡《から》み付《つ》いた。齒《は》が軍服《ぐんぷく》を突拔《つきぬ》いて肉《にく》に喰込《くひこ》むから、...

3. Part 3

…もう眠《ねむ》つてゐたら、ドクトルが窃《そツ》と突《つゝ》いて覺《おこ》すから、私《わたし》は目《め》を覺《さま》すが否《いな》、呀《あツ》といつて跳起《はねお》きた。誰《だれ》でも覺《おこ》されると、斯《か》う聲《こゑ》を立《た》てたものだつた。で、天幕《テント》の外《そと》へ駈出《かけだ》さうとする私《わたし》の手《て》を、ドクトルは確《しか》と...

4. Part 4

…それは味方《みかた》であつた。最後《さいご》の一ケ|月《げつ》は命令《めいれい》も計畫《けいくわく》も齟齬《くひちが》ひ、敵《てき》も味方《みかた》も行動《かうどう》が紛《もつ》れ〳〵て妙《めう》な工合《ぐあひ》であつたが、然《さ》ういふ中《なか》でも敵襲《てきしふ》のある事《こと》は豫期《よき》してゐた。敵《てき》といふのは即《すなは》ち第《だい》...

5. Part 5

…私《わたし》は湯槽《ゆぶね》に涵《つか》つてゐた。弟《おとうと》は起《た》つたり、居《ゐ》たり。タオルや石鹼《しやぼん》を取上《とりあ》げて、近々《ちか〴〵》と近視眼《ちかめ》の側《そば》へ持《も》つて行《い》つたり、又《また》舊《もと》へ戾《もど》したりして、狹《せま》い部屋《へや》の中《なか》でまご〳〵してゐたが、頓《やが》て壁《かべ》に對《むか...

6. Part 6

…土間《どま》の十一に居《ゐ》た。右左《みぎひだり》から誰《だれ》の腕《うで》だかに直《ひた》と身《み》を挾《はさ》まれながら、周圍《まはり》を見廻《みまは》はすと、ズツと向《むか》ふまで一|面《めん》に凝《ぢツ》と据《す》ゑた人《ひと》の首《くび》が薄暗《うすぐら》い中《なか》に列《なら》んでゐるのが、舞臺《ぶたい》の火影《ほかげ》を受《う》けて微《...

7. Part 7

「…生存上《せいぞんじやう》新生面《しんせいめん》を開《ひら》くのは諸君《しよくん》の任務《にんむ》であります、」と辯士《べんし》は叫《さけ》むだ。此人《このひと》は「戰爭《せんさう》を戢《や》めよ」と書《か》いた文字《もじ》が皺《しわ》でよれ〳〵になつた旗《はた》を揮《ふ》りながら、手《て》で釣合《つりあひ》を取《と》つて、辛《から》うじて小《ちひ》...