Category: Humour

法螺男爵旅土産

拙生《せつせい》の髯《ひげ》が丁年《ていねん》到逹《たうたつ》の宣言《せんげん》をする以前《まへ》、もつと碎《くだ》いて申《まを》せば、最早《もはや》子供《こども》でもなく、さりとて未《いま》だ大人《おとな》でもない頃《ころ》、拙生《せつせい》は世界《せかい》觀光《くわんくわう》の渇望《かつばう》を口癖《くちくせ》のやうに洩《も》らしてゐた。ところが待《ま》てば海路《かいろ》の日和《ひより》とやらで、父《ちゝ》はセイロン島《たう》への航海《かうかい》に拙生《せつせい》の隨伴《おとも》を御許可《おゆるし》になつた。セイロン島《たう》には父《ちゝ》の叔...

Summary

拙生《せつせい》の髯《ひげ》が丁年《ていねん》到逹《たうたつ》の宣言《せんげん》をする以前《まへ》、もつと碎《くだ》いて申《まを》せば、最早《もはや》子供《こども》でもなく、さりとて未《いま》だ大人《おとな》でもない頃《ころ》、拙生《せつせい》は世界《せかい》觀光《くわんくわう》の渇望《かつばう》を口癖《くちくせ》のやうに洩《も》らしてゐた。ところが待《ま》てば海路《かいろ》の日和《ひより》とやらで、父《ちゝ》はセイロン島《たう》への航海《かうかい》に拙生《せつせい》の隨伴《おとも》を御許可《おゆるし》になつた。セイロン島《たう》には父《ちゝ》の叔父《をぢ》に當《あた》る人《ひと》が、知事《ちじ》として最早《もう》長《なが》い事《こと》居《ゐ》る。

Chapters

1. Part 1

拙生《せつせい》の髯《ひげ》が丁年《ていねん》到逹《たうたつ》の宣言《せんげん》をする以前《まへ》、もつと碎《くだ》いて申《まを》せば、最早《もはや》子供《こども》でもなく、さりとて未《いま》だ大人《おとな》でもない頃《ころ》、拙生《せつせい》は世界《せかい》觀光《くわんくわう》の渇望《かつばう》を口癖《くちくせ》のやうに洩《も》らしてゐた。ところが待...

2. Part 2

拙生《せつせい》は第《だい》一|等《とう》の英國《えいこく》軍艦《ぐんかん》大砲《たいはう》百|門《もん》乗組員《のりくみゐん》四百|人《にん》といふのに乗《の》つて、北《きた》アメリカに向《むか》ひポーツマスを出發《しゆつぱつ》した。セントローレンス川《がは》へ三百リーグといふ所《ところ》に着《つ》くまでは、別《べつ》に話題《おはなし》になるやうな事...

3. Part 3

拙生《せつせい》が銀《ぎん》の手斧《てをの》を探《さが》して一|度《ど》月《つき》の世界《せかい》へ行《い》つた事《こと》は、既《すで》に諸君《しよくん》御承知《ごしようち》の通《とほ》りである。其後《そのご》拙生《せつせい》はもつと愉快《ゆくわい》な方法《はうはふ》で再《ふたゝ》び同地《どうち》へ旅行《りよかう》し、姑《しばら》く滯在《たいざい》の間...