第一章
Trivia (1902) by Logan Pearsall Smith (1865-1946) 断章形式で人生の諸相を一筆書きしたエッセイ集。ユーモアとメランコリーと シニシズムが軽くふりかけられた、しゃれた文章である。
The Story of My Heart (1883) by Richard Jefferies (1848-1887) リチャード・ジェフリス「わが心の記」寿岳しづ訳 岩波文庫
Notebooks (1912) by Samuel Butler (1835-1902) バトラーがふと思いついたアイデアを忘備録に残したもの。「道徳の基礎 こ れも他の基礎とおなじで、あまりほじくり返すと、その上の思想体系が崩れ落 ちてくる」「人生は生きるに値するか そんなことは胎児が考えればいいので あって、人間が考えることじゃない」。
The Man Who Was Thursday (1907) by G. K. Chesterton (1874-1936) G.K.チェスタトン「木曜の男」吉田健一訳 創元推理文庫
The Demi-Gods (1914) by James Stephens (1882-1950) 三人の天使がアイルランドの田舎に舞い下り、行商の父娘、おより驢馬と旅を する。アイリッシュ・ユーモアとペーソスにあふれた秀作。作者はアイルラン ドの作家・詩人で、ジェイムズ・ジョイスに、「フィネガンス・ウエイク」を 書き終えることが出来なかったら、おまえが完成させてくれないか、と言われ た男である。
The Works of Francis Thompson (1859-1907) イギリスのカトリック系の家に生まれた詩人だが、アヘン中毒を患い、生活は 苦しかった。「幽霊書店」第六章でミフリンが「フランシス・トンプソンの詩 に出てくる猟犬」といっているが、これは神から隠れようとする者と、それを すさまじい勢いで追う神を描いた「天の猟犬」のこと。
Social History of Smoking (1916) by George Latimer Apperson (1857-1937) イギリスにおける喫煙の歴史を辿りながら文学や風俗など、いろいろな知識が 得られる楽しい本。「幽霊書店」の第一章でウォルター・ローリー卿が「たば この守護神」と呼ばれているのは、卿がイギリスに初めてたばこを紹介した人 だと思われているからだ。彼がたばこを吸っていたとき、召使いは主人が燃え ていると思ってバケツの水をかけたそうだ。
The Path to Rome (1902) by Hilaire Belloc (1870-1953) フランスからアルプスを越えてローマに至るまでの旅行記だが、ウイットと活 気に満ちた語り口で旅行中の体験や作者の意見を語り、英米では未だに版を重 ねる人気の一冊。作者は子供向けのライト・ヴァースでも有名。
The Book of Tea (1906) by Kakuzo (1863-1913) 岡倉覚三「茶の本」岩波文庫
Happy Thoughts (1868) by F. C. Burnand (1836-1917) バーナンドは一八八〇年から一九〇六年まで「パンチ」の編集長をした。文筆 家を志す男が、友人の田舎屋敷を経巡りながら、滑稽な体験を語る。イギリス 的なユーモアが味わえるだけでなく、十九世紀後半の風俗を知る上でも興味深 い一冊。
Dr. Johnson's Prayers and Meditations ジョンソン博士(1709-1784)は初めて英語の辞書を作った、オーガスタン時 代の文壇の大御所だが、彼のお祈りの内容を見ると「怠け癖を直し、寝る時間 をきちんと守り、次の日の予定を立てて、日記をつけ、日曜日には教会に行く こと。神様、わたしの罪深い習慣が直るように力を与えてください」
Margaret Ogilvy (1896) by J. M. Barrie (1860-1937) 「ピーター・パン」の作者が、十四歳で死んだ兄や母親の思い出を綴った作 品。不滅のキャラクター、ピーターとウエンディの創造の秘密を知りたいなら、 この本は必読である。
Confessions of a Thug (1839) by Philip Meadows Taylor (1808-1876) カーリー神の名の下に人殺しの儀式を繰り返すインドの秘密結社の話。作者が インドで警視を務めているとき、サグ団の殺人や窃盗のことを知り、小説化し た。当時のベストセラー。
The Morning's War (1913) by C. E. Montague (1867-1928) モンターギュはイギリスのジャーナリストで作家。四十代後半で第一次世界大 戦の塹壕戦を経験している。タイトルをシェイクスピアの一節から取った本作 は、オーブリーとジューンという、いとこ同士のロマンスを、独特の美文で描 いている。アルプス登山の場面が鮮烈な印象を残す。
The Spirit of Man (1915) edited by Robert Bridges (1844-1930) 編者はイギリスの桂冠詩人。つまり国家的行事の際に詩を作るよう政府から正 式に任命された人である。ジェラルド・マンリー・ホプキンスの詩を死後出版 し、その名声を高らしめた人でもある。本書は英仏の詩のアンソロジー。
The Romany Rye (1857) by George Henry Borrow (1803-81) 作者はイギリスとヨーロッパを放浪し、ジプシーと交友を深めた。ヴィクトリ ア時代に、今でいう「オルターナティヴ」な生き方を求めた人だ。Lavengro 「ラヴェングロー」とその続編に当たる本作は代表作。両者は完全な一続きの 物語なので、読むなら「ラヴェングロー」から読まなければならない。
Poems by Emily Dickinson (1830-86) 「ディキンスン詩集」新倉俊一編 思潮社
Poems by George Herbert (1593-1633) 「ジョージ・ハーバート詩集―教会」鬼塚敬一訳 南雲堂 「続 ジョージ・ハーバート詩集―教会のポーチ・闘う教会」鬼塚敬一訳 南 雲堂
The House of Cobwebs (1906) by George Gissing (1857-1903) ジョージ・ギッシング「蜘蛛の巣の家」吉田甲子太郎訳 岩波書店
Erewhon (1872) by Samuel Butler (1835-1902) サミュエル・バトラー「エレホン 倒錯したユートピア」石原文雄訳 音羽書 房
The Way of All Flesh (1903) by Samuel Butler (1835-1902) 牧師の息子アー ネスト・ポンティフェクスの成長を描きながら、ヴィクトリア時代に威圧的権 威をふるっていた家とか教会を批判している。
Letters and Speeches of Oliver Cromwell (1845) by Thomas Carlyle (1795-1881) クロムウエルの肉声を生き生きと伝えていると言われているが、私はミフリン 夫人と同じで最初の数ページで読むのを放棄した。