お目出たき人

Part 3

Chapter 37,054 wordsPublic domain

『自分がもし生れなかつたら?』 かう中田豊男が考へたら頭がむしやくしやしてきた。豊男は自分の生れてきたことは偶然のことを萬を萬乘した程經驗してきたことヽ考へてゐる、豊男には自分の生れたことが奇蹟のやうに思はれるのである。しかし生れなかつた自分を想像することは豊男には出來ないのである、生れぬ前は自分ではない。いや母の腹に宿らぬ前は自分ではない、自分と云ふものはなかつたのだ。これは豊男には當然なことヽ思へるが、どうもさう考へると一種いやな、なさけない感じがする。自分と云ふものヽ存在が必然であつてほしいのだ、自分なる個性は運命によつて明治十八年五月十二日何時何分にこの世の光を見るべく定められてゐてほしいのだ。さうでなければ自分の個性は無意味な、ふとしたはづみに生じたものと思はなければならない。思はなければならないことを知つてゐるが豊男には之が嬉しくなかつた。

自分の母が父の處へ嫁したのも豊男には偶然に思へる。第一母や父が生れたのも偶然なことを萬を萬乘した程かさねてきたものだ。父方の祖父祖母、母方の祖父祖母の生れたことも偶然のことを萬を萬乘して來たのだ。又之等の人の夫婦になつたのも偶然なことだ。

豊男は不快ながら父の中にゐた幾億の精虫の内にこの世に生を得たものは一つきりない、その一つが自分の半身だと思はないではゐられなかつた。父母の方にも同じやうなことが云へると思つてゐる。 『自分がもし生れなかつたら自分はこの世にゐない』 豊男はこんな答を與へて見たがます〳〵頭がむしやくしやした。 『生れない許りではない、自分は宇宙に存在しなかつたのだ。さうして他の人が生れたかも知れない、その方がありさうなことだ』 かう豊男は答を與へたが、どうも自分の求めてゐる答とは非常にかけはなれた答としか思はれなかつた。豊男はます〳〵じれて來た。 『第一そんなことを考へるのが馬鹿氣てゐるのだ。自分は生まれたのではないか』 豊男はかう思ひかへして見たがどうももの足りない。 『餘り偶然すぎる』 かう豊男は獨言したが、なんにもならない。 『人類には意義があるかも知れない、しかし個性には意義はない。生れたつて生れなくつたつて大した差はない。死なうが生きやうが大した差はない。自分が他人だつて大した差はない、自分が生れないで永遠にこの世に生れさうもない他のものが生れたとて親は我が兒と愛するであらう。さうしてその兒は自分の生まぬ子を生み、自分の存在したために生れる自分の子孫の變りに永遠に生れることなき子孫が――個性がこの世に生れるだらう』 豊男はこんなことを考へて益々頭を亂した。 とくことの出來ない謎をかけられた者のやうに、こんがらかつた糸を解かうとしてとけない人のやうに、豊男はやけくそを起して 『勝手にしやがれ!』と心に叫んだ。 しかしまだとけない問題に未練をのこして頭をこんがらかした。 『地球が出來なければ自分は生れなかつたのだ』豊男はもうじつとしてゐられなくなつた。不快でたまらない、室を步きまわつた。 『生れなかつたらこんなことは考へなかつたらう、步きもしないだらう。飯も食はないだらう。呼吸もしないだらう、學校にもゆかなかつたらう。彼女も戀しなかつたらう。苦しみも悲しみも喜びも樂みもなかつたらう。何にもなかつたらう。しかし地球の上は今と同じやうだらう。さうして恐らく彼女は生れてゐたらう。さうして外の男と戀しあつたらう』 豊男はどうも考へるべからざることを考へてゐるやうな氣がした。さうしてとくべからざる謎を解かうとする自分の僭越な罪の罸を受けてゐる氣がした。 それで不意に氣をまぎらさうと帽子をかぶつて往來に出た。自分と同じやうに偶然なことを萬を萬乘したほど經驗して生れて來た人に往來で澤山あつた。老人や子供、男や女、美しい人や醜い人。立派な風をした人や粗末な風した人。皆自分の生れて來たことを當然なことだと云ふ顏して步いてゐる。

豊男はそれを見て同類が多いと思つた。さうして少しは氣がおちついた。しかしまたヾめだ、友の處へ行つたら不在だつた、それで戀人の處へ行つた。

戀人は自家に居た、豊男の顏を見ると笑つた、豊男も笑つた。この時とけなかつた謎は何處かへ行つてしまつた。豊男は二時間計り我を忘れて戀人と雜談した。 さうして歸り路に『もし自分が生れなかつたら』と考へて見たが、そんなことはどうでもいヽやうに思はれた。さうしてそんなことを氣にしてゐた自分がお可笑しく思へた。 『生れたから生れたのではないか。生れなかつたら生れないのではないか。そんなことを考へる手間にどうすれば幸福にくらせるかを考へた方がいヽ』かう豊男は心で叫んで微笑んだ。さうして戀人とつくる未來の家庭を夢みて家路を急いだ。 (四十二年十月)

亡友

甲、『あいつ』は自分を天才だと思つてゐた。

乙、『あいつ』は八十迄生きる心算でゐた。

丙、『あいつ』は戀人と家庭をつくることを考へてゐた。

丁、『あいつ』は自分を以て一番幸福な人間だと思つてゐた。

甲、『あいつ』は死ぬまぎわまで自分の未來のことを考へてゐたさうだ。

戊、しかしほんとは死ぬと思つてゐたらしい。

甲、どうだか、 戊、いや思つてゐた。自分が鎌倉に見舞つた時、『あいつ』は例の淋しい笑を見せてかう云つた。さすがの僕もこの頃はよく死ぬやうな氣がする、まだ仕事をしない自分をまさか死なしはしまいと思はうとするが、それは何にも益にたヽない。有爲な人が若い内にいくらでも死んでゐる。しかし死ぬ瞬間まで自分は必ず死ぬとは思はないだらう、しかし必ず死なヽいと思つたことはこの病氣になつた以來一度もないと云つた。

丁、それはさうだらう 戊、それで僕はさう云へば僕でもさうだと云つた、さうしたら彼は冷笑するやうに、さうかも知れない、しかし程度がちがう、丈夫な人は死と云ふ問題に痛切にふれることは出來ないやうに出來てゐる、死ぬとか死なヽいとか云ふ問題がさう長く頭を支配することは出來ない、と云つた。

乙、うん 戊、僕はかう云はれた時、あいつを思はず見た、骨と皮になつてゐる、自分もこれは死ぬなと思つた。おそかれ早かれ死ぬなと思つた。

甲、僕逹だつておそかれ早かれ死ぬだらう、 戊、がやすのはよしてくれ玉へ。程度がちがう。自分は仕方がないから話をかへた、さうして今君の望は何だと何に氣なく聞いて見た。

甲、うん。

戊、あいつは又淋しく笑つた。さうして何だと思ふと反對に僕に聞いた。仕事かと聞いた、首を橫にふつた。何だと僕は又聞いた。

乙、うん、 戊、例の人に介抱《かいほ》してもらうことだ、と彼は笑つた、 乙、うん、 戊、それはおれの力にあはないから困ると僕は云つた。さうしたら、君の力にあつても御斷りすると『あいつ』は云つた。『なぜ』と自分はつよくきヽ返した。『肺病だぜ』とあいつは云つた。戀人にかいほしてもらえば接吻もしたくなるからねと彼は笑つた。

丙、悲慘だね、 戊、悲慘と思ふより僕は悲壯に感じた。あいつは言葉の調子をかへて、自分は例の人の自分を愛してゐてくれたかも知らずにこの世をさるのがなんだか淋しい、しかし今となると、まだ自分の戀の成就しなかつたことが例の人にとつて幸ひだつた。しかし自分には不幸だつた。自分は眞の人生の快樂を知らずに死ぬのだからね、とあいつは云つた。

乙、うん。

戊、死なヽいかも知れないじやないか、僕はかう云つた。あいつは冷笑した。有難たう、しかし僕はそれ程目出たくはない。自分で自分のことを樂天家だとも云つた。目出たい人間だとも云つた。しかし自分は君が僕の死ぬことを信じてゐることを知つてゐる。僕は君に僕と云ふものを思ひ出させる爲にしやべりたいだけしやべらうと思つてゐるのだ、實は自分で自分の死ぬことを迷信してゐる、さうあさはかな同情は今されたくない、僕は之でも自分で勇士だと思つてゐるのだ。

乙、うん、 戊、餘り激するといけないだらうと僕は云つた、すると激さヽないやうにする好意があるなら、すなほに僕の云ふことを聞いてくれ玉へと云つた。さうして『あいつ』は色々のことを云つた。その内にこんなことも云つた。

自分の一番の望みは自分の初戀の女の人と例の人に時々見舞はれることだ。もし何んなら初戀の女の人は夫と一緖に來てくれてもいヽ、例の人は母と一緖に來てくれてもいヽ。自己の名と身体をきづヽけないやうにして自分を時々見舞つてほしいのだ。自分は决して戀人に云ふやうなことは云はないだらう。たヾ無邪気な話がしたいのだ、死と云ふものを忘れて喜びに醉ひたいのだ。君とかうやつて話してゐると氣持がいヽ、時々は夢中になるしかし淋しい、それに理窟ぽくなつていけない、死と云ふものを感じてゐけない、夢中になつて華かに醉ひたいのだ、しかしそれは例の空想だね、出來ないことだ、しかし自分は樂天家だから初戀の人や、例の人が自分の死にかヽつてゐることを聞いて見舞つてくれることはあり得ないことではないやうな氣がしてゐる、と云つて淋しく笑つた。二人に手紙を出したらどうだと僕は云つた。出來ないね、とらはれてゐるのかも知れないが出來ない。それに手紙を出しても來るわけにはゆくまい。たヾ來てくれはしないかと思つてゐるのだ。これが中々の慰藉になるのだ、ハンネレのやうに死ぬ時には二人の夢を見て死ぬかも知れない。とあいつは笑つた。

甲、二人は彼の死ぬまでに彼の處に來たかい。

戊、來るはづがあるものか。

丁、二人の夢を見て死んだらうか。

乙、そんなことがわかるものか。

戊、しかし餘程樂な死だつたさうだ。

丙、しかし隨分それまでに苦しんだらうね。

甲、煩悶もしたらう。

乙、隨分生命に執着してゐた方だからね。

乙、しかし死んでしまえば同じことだね。

戊、同じだらうか。

甲、同じぢやないか。

戊、………さうだね。(完) (四十二年十一月)

空想

妹、お兄さん、今度お出しになつた繪の評が今日の新聞に出てゐましたわね。

兄、(一寸驚き)出てゐた。お淸さんはあれを讀んでどう思つて。

妹、妾、嬉しゆう御坐いましたわ。

兄、なぜ、あんなに惡口云つてある評を見て嬉しかつたの。

妹、だつてお兄さんの繪が高尙過ぎてわからないのであんなことを云ふのでしよ、妾あの評を讀んでお兄さんはほんとに豪い方なのだらうと思つてよ。

兄、有難たう。しかし僕にはあの評は心ぼそかつた。

妹、なぜ?

兄、だつてあヽ見えると云ふことはアヽトが下手だからだと思つたので。

妹、だつてお兄さんがあれを出品なさる時、世間の奴、この繪を見てきつと惡口云ふだらう。この繪の價値はわからないだらうからな!、とおしやつたでしよ。

兄、そりや、云つたさ、しかしまるで豫期してゐない所に敵が出たのだからね、僕のあれを出して攻擊されると思つたのはあの點ではなかつた。物好きだ、新らしがつてゐる輕薄だ、才でやつてのけてゐる。そんな攻擊はされる心算はなかつたのだ。僕は寧ろ不器用だ、筆の使ひ方を知らない、色が不快だ、餘りにむきになりすぎてゐる。藝術品じやない。と云ふ攻擊を待ちもうけてゐたのだ、攻擊が前から來てくれたなら自分は得意になつたらう。しかし攻擊は後ろから來たのだ、豫期しない所から來たのだ、批評してゐる人が可なり名のある、公平な人だけに何んだか不安なのだ。ほんとにさう見えるならば自分の精神の力と云ふもの、自分の人格と云ふものが疑はれてくるのだ。

妹、そんなことはありません。あの繪に感心した人があるじやありませんか。

兄、感心してくれたのは親友と素人だ、ひいき目で見る人と、繪のことがわからない人だ。

妹、しかし素人の方が反つてわかるものだとお兄さんは何時かおしやつたではありませんか、反つてとらわれてゐないからつて、 兄、しかし素人はこけおどしにおどされることがあるからね。

妹、あの畵にこけおどしがあつて、 兄、どつか變つた所がこけおどしになつたのだらう。

妹、そんなことはありませんわ、妾、あの批評を書いた人を何時かお兄さんがほめておゐでヾしたから有望な方と思つてゐましたが、あの批評を見て矢張り、普通の方と思ひましたわ、 兄、どうして、 妹、それだつて、あの畵の精神がわからないのですもの。底の力と、表面だけの力の見わけの出來ない人なのですもの、あの繪に何處に輕薄な所があるでしやう。

兄、それはおれだつてないと思ふ。その畵のどの一ハケも僕は全心で書いた。全身の力を筆さきにあつめて書いた。しかしおれの全身の力は存外弱いものかも知れない。

妹、そんなことはありませんわ、それに物好きだとか、新らしいがつてゐるとか云つてゐるのを見ると、おかしくなりますわ、物好きな所が何處にありましやう、新らしがつてゐる所が何處にありましやう。

兄、そりや畵いた時そんな氣は少しもなかつた、他人とかわつた所があると云ふことは知つてゐた、しかし古い新らしいと云ふことは眼中になかつた、自分は自分の個性に最も忠實なものを畵題にとつた、それをかくことに全身の力をそヽぐことの出來る畵題を撰んだ、畵題の古い新らしいは自分の問う所ではなかつた、しかし他人にさう思はれるのは、自分の全身の力が弱いからじやないか知らん。

妹、うそよ、そんなことはありませんわ、批評書いた人のさもしひ心からそんな想像をしたのですよ、妾、中でも『古い畵題をとつて新らしいものと思つて得意になつてゐる作者のお目出たいのが浦山しかつた』と書いてある所を見た時に、妾、書いた人を輕蔑しましたわ。

兄、しかし僕はあれを畵いた時にはそんな氣はなかつた、たヾ夢中でかいたが、出品する時には新しい所があるのを得意にしてゐたのだ。

妹、しかしそれは畵題じやないのでしよ、個性の顯はし方のアヽトにでしよ。よくお兄さんがおしやつてゐらしやるやうに。其處に氣がつかないのですもの、お目出たいわ、 兄、お淸さん見たやうに云へば何でもないが、僕はもう少し批評してゐる人を信じてゐるのだ。それ以上に自分の人格の力を疑つてゐるのだ。

妹、なぜ。

兄、だつて、自分の人格の力があの畵には露骨に注ぎこまれてゐる、注ぎ込み方の批難ならいヽが、その自分の人格の力が露骨に出てゐる作品が、輕薄に見えると云ふのはなさけないじやないか。

妹、先入主があつてきつと感じられなかつたのですよ。

兄、それ程自分はあの批評家をにぶい人とは思へないのだ。

妹、思ひちがいもありますわ、しかしあの批評家は偉い人じやなくつてね、きつと、少くも外面きりわからない人ね。

兄、もしさうならいヽけど。

妹、さうですよ〳〵、お兄さんの作に特色があるのを借り物からくる光だと思つてゐるなんて偉くない證據よ。根本のわかる人じやないのよ、あんな人の批評で自分を疑ふなんてお兄さんに似合ないわ。

兄、しかし僕と利害關係の全くない畵のわかる人が三四人も同じやうな攻擊をするのだもの、さう見えるのがほんとうの氣がしてくる、自分の批判は自惚から來るものと思へてくる。

妹、そんなに色々の人が、今日の新聞のやうな批評してゐるの、なほ面白くつてね、しつかりおしなさいよ、なぜお兄さんはその批評をお見せにならなかつたの。

兄、お淸さんの信用をおとすのがいやだつたから。(笑顏する) 妹、まあ、そんな批評で信用をおとすと思つてゐらつしやるの、又妾をだましてまで妾に信用されたいの。

兄、弱いからね。

妹、ほんとに弱いのね。

兄、しかしほんとは强いのだよ、僕もお淸さんと同じやうに僕の畵を惡口した人を輕蔑してゐるのだよ、しかし自惚からかとそれが心配なのさ。

妹、そんなことはなくつてよ、何人惡口云つたつて妾はお兄さんは最後の勝利を得ると思つてゐてよ。

兄、どうしてさう信じられるのだらう。

妹、妾にもわかりませんわ、しかしきつとさうよ、時がたつとわかるわ、だから今惡口云はれた方が氣持がいヽわ。

兄、僕もさうも思ふのだ、惡口を云はれない時は自分の作が平凡なのだと心細くなることさえある。

妹、どうしてさう他人の批評が怖いの。

兄、僕には僕をはなれて公平に僕をみることが出來ないと思ふから、それに他人相手の仕事だからね。

妹、さうね、しかし眞價はいつかわかるわ。

兄、その眞價が時々心配なのさ。

妹、眞價通りにとられヽばいヽじやありませんか。

兄、さうだね、ほんとにさうだね、しかし眞價を自分は買ひかぶつてゐるからね。

妹、買ひかぶつてゐるのかどうかはわかりませんわ、妾、お兄さんは自身をもつと買ひかぶつていヽと思ひますわ。

兄、お淸さん有難たう、お淸さんがゐるのでどれだけ氣丈夫か知れない。もしお淸さんがゐなかつたら、どんなにさびしいだらう。僕が僕を信じられなくなつた時お淸さんがゐなかつたらどんなに淋しいだらう。僕になにか後《のち》にのこるやうなものが描けたら、それはお淸さんの御陰げだ。

妹、そんなことはないわ。

兄、いヽえ、ほんとうにさうです。

妹、さう思つて下されば有難いわ、妾嬉しくつてよ。

兄、僕はきつと自分の道をわき目もふらずに進んで見ますよ。僕にも成算の希望があるのですから、それに向つて。

妹、いらしやい〳〵、ほんとにいらしやい、妾、お兄さんのやうな人の妹に生れたのが嬉しくつてよ。

兄、(淚ぐむ)餘り嬉しいので淚が出ました。

妹、(淚ぐむ)妾も。

兄、貴女がゐなかつたらどんなに淋しいでしやう * * * * * 彼はかう書いて來て元氣にはなつたが淚ぐんだ。彼にはかう云ふ妹も戀人もないのである。(完) (四十三年十月)

明治四十四年二月十日印刷 發行部數 明治四十四年二月十三日發行 (自一――至千)

お|定 著者 武者小路實篤 め|價 東京市麹町區麹町二丁目二番地 で|六 發行者 河本亀之助 た|十 東京市麹町區麹町二丁目九番地 き|錢 印刷者 藤田千代吉 人 東京市麹町區麹町二丁目九番地 印刷所 千代田印刷所 ―――――――――――― 發行所 東京麹町二の二 洛陽堂

Transcriber's Notes(Page numbers are those of the original text)

お目出たき人

原文 磒石(p.19 and p. 20) 訂正 隕石 原文 馬鹿氣でゐる(p. 49) 訂正 馬鹿氣てゐる 原文 己におふたより(p. 50) 訂正 己におたより 原文 書生は(p. 71) 訂正 書生が 原文 失敗 た(p. 75) 訂正 失敗した 原文 密柑(p. 77) 訂正 蜜柑 原文 イリヰツッ(p. 80) 訂正 イリヰッツ 原文 かヽた時(p. 80) 訂正 かヽつた時 原文 笑《わらひ》ひながら(p. 83) 訂正 笑《わら》ひながら 原文 憐れんでゐるか(p. 94) 訂正 憐れんでゐるが 原文 [執にれんが]烈(p. 104) 訂正 熱烈 原文 羹《うらや》ましく(p. 117) 訂正 羨《うらや》ましく 原文 過きた(p. 156) 訂正 過ぎた 原文 斷つなから(p. 162) 訂正 斷つたから 原文 (一寸驚き)、(p. 199) 訂正 (一寸驚き) 原文 豫期してゐたい所(p. 200) 訂正 豫期してゐない所 原文 豫期したい所(p. 201) 訂正 豫期しない所 原文 おの畵(p. 202) 訂正 あの畵 原文 新らしもの(p. 204) 訂正 新らしいもの

文字・フォーマットに関する補足

「こ」の下の横棒と「と」を上下で組み合わせた文字は「こと」に置き換えた。

原文p. 53 から p. 54 にかけて二字分の伏せ字が四箇所あるが、他の版の例にならってこのテキストでも「手淫」の字句を補った。

原文ではpp. 180-181 にかけてト書き以外の部分も急に字下げされているが、他の部分の形式にあわせてこのテキストでは字下げをしていない。

原文p. 190 に一行だけ字下げしたところがあるが、他の部分の形式にあわせてこのテキストでは字下げをしていない。

句読点は原文のそれを維持した。