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    <title>苦悶の欄 | Cyber Library</title>
    <link>https://www.cyberlibrary.org/ja/books/39287/</link>
    <description>二年前の七月、ロンドンの猛暑はほとんど我慢の限界をこえていた。いまか ら思えば当時の焼けつく大都市は、拷問部屋へつうじる控えの間のごとき役割 をはたしていたのかもしれない。つまり世界大戦という地獄のおとずれにむけ て不充分ながら下準備をととのえていたわけである。セシル・ホテルのそばに たつ、ドラッグストアのソーダ水売り場には大ぜいのアメリカ人観光客がたむ ろし、母国で売られているのとおなじソーダやアイスクリームにほっと息をつ いていた。ピカデリーの喫茶店のあけはなたれた窓からは、イギリス人が涼を もとめて何クォートもの熱いお茶を飲んでいる姿が垣間見...</description>
    <language>ja</language>
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      <title>5. 第五章</title>
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      <description>娘はその言葉を聞いて落胆した。あれほど彼女を夢中にさせた謎の解決を永 遠に手に入れることなく、リヴァプールかサウサンプトンから船出する、はな はだ不幸な自分の姿を思い描いた。彼女は抜け目なく父親の心を食べ物のほう にそらそうとした。食事をするならストランド街のシンプソンズがどこよりも おいしいんですって。歩いて行ってみない？</description>
    </item>
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      <title>7. 第七章</title>
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      <description>その日の朝、彼女は殺人に関する国際法上の微妙な点について、父親に訳あ りげな質問をいくつかした。父親がほかのことに気を取られ、はなはだしく興 奮していなければ、恐らくこの質問の奇妙さに気がついていただろう。 「いいか、帰らなきゃたいへんなことになるぞ！」彼は憂鬱そうにそう告げ た。「ドイツ軍はエクス・ラ・シャペルでリエージュ攻撃に備えている。そう、 あ...</description>
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      <title>6. 第六章</title>
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      <description>長く辛い戦禍の日々の中で、ロンドンの人々が、あれが最後の平和な日曜日 であったのか、と思うことになるその日は、緊張と不安に包まれ過ぎて行った。</description>
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      <title>2. 第二章</title>
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      <description>次の日は日曜日で、デーリー・メールは休刊である。その日はのろのろと足 を引きずるように過ぎた。月曜日、ジェフリー・ウエストはとてつもなく早起 きをし、通りに出て、お気に入りの新聞を捜した。それを見つけると苦悶の欄 ……それだけを見た。火曜日も希望をすてずにまた早起きした。しかしそこで 希望はついえた。カールトン・ホテルの女性は快く返事をくれなかったのだ。</description>
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      <title>3. 第三章</title>
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      <description>テキサスの政治家の娘は、興味津々の笑みを浮かべて、木曜日の朝、カール トン・ホテルの自室でその手紙を読んだ。イチゴ狂からの手紙が彼女の心をと らえ、ひきつけたことは確かだった。その日一日、無理やり父親をひっぱって 美術館めぐりをしながら、彼女は次の日の朝をわくわくしながら熱心に待ち望 んでいる自分に気がついた。 しかし翌朝、この奇妙な文通を取り次いでい...</description>
    </item>
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      <title>1. 第一章</title>
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      <description>二年前の七月、ロンドンの猛暑はほとんど我慢の限界をこえていた。いまか ら思えば当時の焼けつく大都市は、拷問部屋へつうじる控えの間のごとき役割 をはたしていたのかもしれない。つまり世界大戦という地獄のおとずれにむけ て不充分ながら下準備をととのえていたわけである。セシル・ホテルのそばに たつ、ドラッグストアのソーダ水売り場には大ぜいのアメリカ人観光客がた...</description>
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      <title>4. 第四章</title>
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      <description>この手紙が受取人の若い女性をいささかぎょっとさせたことは言うまでもな い。その日はロンドンのあまたの名所も、ほとんど彼女の興味をひかなかった。</description>
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      <title>9. 第九章</title>
      <link>https://www.cyberlibrary.org/ja/books/39287/chapters/9/</link>
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      <description>女中のセイディ・ヘイト気付で送られてきた最後の七通目の手紙を読みなが ら、カールトン・ホテルの娘が味わった気持ちは、とても言葉では言い表せな い。が、ぱらぱらと辞書をめくれば、幾つか使えそうな言葉が見つからないわ けでもないだろう。例えば「驚愕」、「怒り」、「不信」、「感嘆」などだ。 Ａの項目まで戻れば、感興（amusement）という言葉も悪くない。...</description>
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      <title>8. 第八章</title>
      <link>https://www.cyberlibrary.org/ja/books/39287/chapters/8/</link>
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      <description>このようにしてテキサスの娘にとってだけでなく、ロンドンじゅうの人々に とっても落ち着かない一日がはじまった。彼女の父親は、顧問の靴磨きから先 ほどさずけられた、新たな外交上の秘密の話ではちきれそうになっていた。後 に彼はワシントンで、海外の事情通として注目を浴びる運命にあった。靴磨き が背後で彼を支えていたとは、誰も予想しなかったが、テキサスから来た男...</description>
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