# 殉情詩集

Author: Sato, Haruo, 1892-1964

Genre: Category: Poetry

Language: 日本語

License: Public domain

Source: https://www.gutenberg.org/ebooks/38697

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## Summary

われ幼少より詩歌を愛誦し、自ら始めてこれが作を試みしは十六歲の時なりしと覺ゆ。いま早くも十五年の昔とはなりぬ。爾來、公《おほやけ》にするを得たるわが試作おほよそ百章はありぬべし。その一半は抒情詩にして、一半は當時のわが一面を表はして社會問題に對する傾向詩なりき。今ことごとく散佚《さんいつ》す。自らの記憶にあるものすら數へて僅に十指に足らず。然も、些の憾なし。寧ろこれを喜ぶ。後、志を詩歌に斷てりとは非ざりしも、われは無才《むざえ》にして且つは精進の念にさへ乏しく、自ら省みて深くこれを愧づるのあまり遂には人に示さずなりぬ。但、殉情の人は歌ふことにこそ纔《わづか》に慰めはあれ、譬へば、かの病劇しき者の呻くことによりて僅にその病苦を洩すが如し。されば哀傷の到るものある每にわれは恒に私《ひそか》に歌うて身をなぐさめぬ。又譬へば獵矢《さつや》を負へる獸の森深く逃れ來りて、世を惡み人を厭ひて然も己が命を愛するの念はいや募り、己が口もて己が創痍を舐め癒さんと努むるが如し。

## Chapters

- [Part 1](https://www.cyberlibrary.org/ja/books/38697/chapters/1/index.md)
