# 入れかわった男

## 第四章

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ミスタ・マンガンはレストランに入る前に小さな応接間で知り合いとしばらく歩きながらおしゃべりをした。一方、食事に招待したドミニーは支配人に話しかけ、通りかかったウエイターにカクテルを注文し、両手を背中に回して大広間に入ってくる男女を観察していた。外国暮らしの長かった人間が同国人を好奇の眼で見ている、そんな様子だった。彼は混雑する広間を通り抜ける若者の一団をよけて一方の側に身を寄せた。そのとき、厚いカーペットを敷き、三段に折れた階段のいちばん上に一人の女性が立っていることに気がついた。二人は目を合わせた。女の視線は知り合いを捜して部屋中をさまよっていたのだが、とたんに強い熱を帯びて釘づけになった。広間をぶらついていた数人の人は、しげしげと男を見る女の視線に特別な意味があるとは知らず、この二人を好ましい、ほとんど魅力的な観察対象のように思った。ドミニーは身長が百九十センチ、生まれながらの階級的特徴を最大限に示していた。さらに半ば軍人的な、半ば運動選手的な身のこなしを見事なまでに回復したようだった。顔は適度に日焼けし、薄い口ひげは上唇のところできれいに刈りこまれている。その色は丁寧に櫛を当てられた頭髪と同じ赤茶色だった。彼に向かってゆっくりと歩き出した女は、少なくともそのときだけは不自然といっていいくらい頬が青ざめていたが、それを除けば肌の色は彼と同じだった。赤みを帯びた金髪が黒い帽子の下で光った。背の高い、ギリシャ風の容姿で、大柄だが粗さはなく、まだ若いのに堂々としていた。小脇に子犬を抱え、反対の手は無地の絹織りの黒いバックを握っていた。バッグはプラチナとダイヤモンドの宝冠で飾られている。広間を取り仕切っていた支配人は彼女が近づいてくるのを見ていつもより丁重に腰をかがめた。しかし彼女の目は注意を惹きつけて止まない男のほうに向けられたままだった。彼女は唇を少し開いて彼のほうに寄っていった。 「レオポルド！」彼女はためらいながら言った。「どういうことなの。どうして知らせてくれなかったの！」 ドミニーは軽く会釈した。彼の言葉はあらかじめ用意されていたかのように響いた。 「失礼ながら、人違いではありませんか。わたしの名前はレオポルドではありません」 彼女はじっと立ちつくし、慇懃な否認の言葉など聞かなかったように彼を見つめた。 「よりによって、ロンドンに来ているなんて。どういうことなのか、説明してちょうだい」 「残念ながら、奥様、今申しあげた通り、わたしはあなたのお知り合いではないのですよ」 彼女は不思議そうな顔をしたが、まったく納得していなかった。 「レオポルド・フォン・ラガシュタインではないとおっしゃるの？」彼女は信じられないといったように尋ねた。「わたしを知らないとでも？」 「奥様、遺憾ながらその通りです。わたしはドミニー、エヴェラード・ドミニーと申します」 彼女は一瞬、動揺の色を顔に出すまいと、必死に自分を抑えているようだった。彼女は指で相手の袖に触れ、人目を避けて、その小さな部屋の隅に引っぱっていった。 「レオポルド」と彼女はささやいた。「わたしを訪ねてきても、まずいことはないし、誰からも後ろ指をさされたりしないわ。住所はベルグレイブ・スクエア十七番地。今晩七時に待っている」 「ですが、奥様」とドミニーは言いかけた。

彼女の目が急にぎらりと光った。 「ふざけないで。何を企んでいるのか知らないけど、成功させたければ、わたしを敵に回さないことね。七時に待っているわ」 彼女は立ち去るとレストランに入っていった。友人から解放されたマンガンは招待主と共に、恭しく案内されたサイドテーブルに席を占めた。 「さっき話していたのはアイダーシュトルム王女じゃありませんか？」弁護士は興味をそそられて訊いた。 「あの方は人違いなさったんだよ」とドミニーは説明した。「おかしなことにオクスフォードでわたしの双子の兄弟と呼ばれていた男と勘違いしたんだ。あの頃はジギスムント・ドゥヴィンターといっていたな。もっともそのあとで爵位を得ただろうけど」 「王女はちょっとした有名人ですよ。ヨーロッパでもっとも富裕な未亡人の一人ですな。ご主人は六、七年前に決闘で殺されたのです」 ドミニーは慎重に昼食の注文を出したが、ウエイターが英語をうまく話せないので、思わず一言二言ドイツ語を使った。食事相手はにっこりと笑った。 「ジャングルにいても言葉は忘れなかったようですね」 「忘れる暇もなかったよ。五年間もドイツ領東アフリカの国境にいて、そこの連中と定期的に取引していたからね」 「ところで、向こうではドイツとの関係はどうなんですか？」 「上々だと思うね」彼は何気なく答えた。「問題は一度もなかった」 「もちろんあなたはまだ聞いてないだろうけど、ここ数年のあいだにイギリス人は二派に分かれてしまいました――ドイツは戦争を仕掛けてきて、わが国をたたきつぶすつもりだと信じている人と、そうでない人と」 「すると、わたしが帰国したことでそうでない人が一人増えたわけだ」 「わたしも懐疑派なんですが、それにしても、何のためにドイツが軍隊をあれほど強化するのか、どうして艦隊を増やしつづけるのか、そこがよく分からないのですよ」 ドミニーはしばらく話を中断してボーイ長とソースについて議論した。しかし数分後には再びその話題に戻った。 「もちろん、わたしは新聞とアフリカで会ったドイツ人との会話から判断してるにすぎないんだがね。しかしドイツの軍隊に関してはロシアとフランスに問題がある。ドイツの軍隊が強ければ強いほどヨーロッパが戦火に見舞われるおそれは少なくなる。ロシアは革命を避けるには戦争をするしかないと、いつ結論するか分からない。それにフランスがアルザス・ロレーヌをどう思っているかは君も知っているだろう。今のロシアはこれまで以上に軍事力の拡張に関心を持ち、力を入れているとドイツ人たちは言っているよ」 「おっしゃることが正しいことは疑いを入れません。しかし今そのことを巡って激論が交わされているのです。あなたの今後の計画について話しましょう。たとえば、これから数週間はどうなさるつもりです？もう親戚の方にはお会いになりましたか？」 「まだ一人も。ご機嫌伺いはどうも気乗りがしないんだ」 ミスタ・マンガンは空咳をした。「以前ロンドンにいらした頃は慢性的な金欠状態だったことを覚えていらっしゃるでしょう。たぶんそのせいで好意的だったかもしれない人も態度を変えてしまったんですよ」 「二度と誰にも会わなくたってわたしは全然平気なんだがね」ドミニーは本音を言った。 「それは無理というものです」弁護士は反論した。「ともかく公爵夫人には会いに行かなければなりません。どんな時もあなたの味方でしたから」 「公爵夫人はいつも優しかった」ドミニーはためらいがちに認めた。「しかしわたしがイギリスを出る頃は、愛想を尽かしていたんじゃないかな」 ミスタ・マンガンは微笑んだ。彼はアフリカのジャングルから帰ったばかりの男が注文したとはとても思えない、上等の昼食に舌鼓を打ち、公爵夫人のうわさ話を心から楽しんでいた。 「公爵夫人は」と彼は言いかけた。 「なにかね？」 弁護士は言葉を切った。その目は近くのテーブルの二人組に吸いつけられた。彼はドミニーのほうに身を乗り出した。 「公爵夫人がいらっしゃいますよ、サー・エヴェラード。あなたの真後ろに、セント・オマール卿と」 「ここはきっと全世界が集結している場所なんだな」彼らのテーブルに近づいてきた男に握手の手を差し伸べながらドミニーは言った。「シーマン、よく来たね！わたしの友達で法律顧問のミスタ・マンガンを紹介しよう。こちらはミスタ・シーマン」 ミスタ・シーマンは小柄な太った男で、ごくオーソドックスなモーニングを隙無く着こなしていた。頭は両脇のわずかな毛の房を除いて禿げていた。そのわずかに残された長いブロンドの髪は、光る頭の上を後ろに向かって注意深くなでつけられている。顔はひどく丸々として、顎のところだけが尖っていた。目は鋭く輝き、口は本格的なユーモア俳優の口だった。彼は弁護士と握手をした。イギリス人とはとても思えない熱意のこもった握手だった。 「ここに来て半時間と経たないうちに、王女様からお近づきを求められるし」彼は声を少しひそめた。「すぐ向こうのテーブルじゃ従姉妹が食事しているのを見つけるし、おまけに今まで十年間いちばんよしみを通じた男と相まみえるとは。もっともわたしたちがいたところは、こことはだいぶ様子が違っていたけどね。そうじゃないか、シーマン？」 シーマンはウエイターが持ってきた椅子に座った。弁護士はさっそく興味を惹かれた。 「そうしますと」と彼は新来者に向かって話しかけた。「あなたはアフリカでサー・エヴェラードをご存じだったんですね」 シーマンはにこりとした。「ご存じだったですって？」彼は鸚鵡返しに言った。最初の言葉で彼が外国人であることが分かった。「彼くらい気心の知れた人間はいませんでしたよ。商売仲間ですな。一緒にずいぶん取引をしました。仕事のパートナーでなかった頃は、サー・エヴェラードにいつもしてやられていましたがね」 ドミニーは笑った。「幸運というのはたいてい人生の初めか終わりにやってくるものだ。わたしの幸運は遅く来たのさ。シーマン、君はわたしにとって幸運を呼ぶ縁起のいい友達だよ。一緒に商売をしていたときは何もかもうまくいった」 シーマンは興奮気味だった。彼は側頭部に残されたわずかな髪を掌でなであげ、ぽちゃりとした指を弁護士の肩に置いた。 「ミスタ・マンガン、聞いてくださいよ。わたしはこの男にある鉱山の支配的利権を売ったんです。四年半所有していたんですが、一ペニーの配当金も生まなかった株です。わたしは額面で売りました。というのも、お金が入り用でしたし、これ以上持ちつづけてもしょうがないと思ったからです。そうしたら五週間のうちに――いいですか、五週間ですよ」彼はくり返した。上品な周囲に合わせて声が上ずらないよう必死に努力しながら。「その株価が額面から十四・五倍もはねあがったんです。今では二十倍ですよ。彼はその株を五千ポンドで買ったのですが、今の株式市場なら十万ポンドで売れます。これがアフリカでの金儲けのやり方ですよ、ミスタ・マンガン。あそこじゃわたしみたいなお人好しが毎日見つかる」 ドミニーはグラスにワインをついで来客に渡した。 「さあさあ、良いことがあれば悪いこともあるさ。アフリカで損はしなかったじゃないか、シーマン」 「ささやかながら儲かったね」シーマンはワイングラスの脚をもてあそびながら認めた。「しかしわたしがこつこつ働くところをこちらのサー・エヴェラードは一歩も動かず、運命に命令して膝の上に宝物をぶちまけさせたんですからね」 弁護士は熱心に、かつ嬉しそうにこの冗談半分のやり取りに聴き入っていた。彼は口をさしはさむ機会を得た。 「するとお二人はアフリカで本当に親しい間柄だったのですね？」彼の言葉には奇妙な、ほとんど説明がつかないような安堵の響きがあった。 「サー・エヴェラードがそう呼ぶことを許してくれるならね。わたしたちは大都市で共に商売をしました。ヨハネスブルグ、プレトリア、キンバリー、ケープタウン。それから一緒に荒野をさまよって金鉱調査をしました。草原地帯を歩き回り、方向を失って何ヶ月もさまよったこともあります。アフリカの低俗な文明だけじゃなく、その紛う方なき驚異も見てきました」 「で、あなたも引退なさったのですか？」 シーマンの笑顔は輝かんばかりだった。 「サー・エヴェラードに素晴らしい富をもたらした取引で、わたしも多少のお金を手にし、イギリスに戻る前に稼ぎ出そうと心に誓っていた額に到達したのです。おっしゃる通りですよ。金儲けからは引退しました。今はわたしの本当のライフワークに再び取りかかろうとしているところです」 「趣味の話をするつもりなら、昼飯を注文したほうがいいぞ」とドミニーが言った。 「お二人が入ってくる前にお昼は済ませてしまいました。おつき合いにワインをもう一杯いただこうかな。そのあとでリキュール――なんかどうです？ここでは何でも飲めますな。ミスタ・マンガン、サー・エヴェラードとわたしは渇きと格闘しなければならない場所にいたんです。何ヶ月も薄い水割りのブランデーを何よりの気晴らしとしなければならないところに」 「先ほどおっしゃった趣味のことをお話しください」弁護士が頼んだ。 ドミニーがすぐに割りこんできた。「わたしは反対だよ。その話をはじめると今日の午後が潰れてしまう」 シーマンは両手を突き出し、頭を左右に振った。 「わたしはそんな無分別なおしゃべりじゃないよ。簡単に一言だけ――どうだい？うむ、それでは」彼は中断を恐れるかのように早口に話しはじめた。「お分かりでしょうが、ミスタ・マンガン、わたしはドイツで生まれ、商売の関係でイギリスに帰化しました。ドイツを愛し、イギリスに感謝しています。人生の三分の一はベルリンで過ごし、別の三分の一はここロンドンやフォレスト・ヒルや都会で過ごし、残りの三分の一はアフリカにいました。わたしは両国間に商業上の敵意や嫉妬が拡がるのを見てきました。そんなものは無用だというのに。しかもそれらはさらに悪い事態を引き起こすかも知れません。わたしはそれを一掃してしまいたいんです。わたしの目的は協会を設立し、大ブリテン島とドイツ帝国のあいだに、もっと友愛のこもった親睦関係とビジネス関係を築くことなんです。ほら、わたしの説明はあなたの時間を無駄にしましたか？わたしだってくだくだしくならずに趣味の話ができるでしょう？」 「簡潔そのものですよ」とマンガンは認めた。「それにあなたの計画には心から敬意を表します。しかるべき人々を集めることができれば、とても貴重な団体になるでしょうね」 「ドイツでは有力な人々を見つけました。国家のために生き、国家を愛しているドイツ人はみんな戦争なんて考えるのも嫌です。わたしたちは平和と友情を求め、人間同士の話し合いを求めます」彼は弁護士のコートの袖を軽く叩きながら話を結んだ。「イギリスはわたしたちにとって最高のお得意さんなんですから」 「あなたの意見がドイツ国民の大多数の意見であればいいのですが」 シーマンはしぶしぶと立ちあがった。 「二時半にブラッドフォードの羊毛製造業者と約束があるんです」彼は時計を見ながら言った。「顧問団に加わってくれないかと期待しているんですよ」 彼は弁護士に向かって仰々しくお辞儀をし、ドミニーには古い友人らしく親しげに頷き、忙しそうに、上機嫌でレストランを出た。 「しっかりした考え方のビジネスマンですな。彼の協会が成功することを祈りますよ。サー・エヴェラード、あなたも新しいことに関心を持つ必要がありますよ。政治はどうです？」 「最初のうちは生活に適応するだけで大変じゃないかと思う」ドミニーは肩をすくめて言った。「若い頃の趣味にはもう興味がないし、こっちの友達には植民地帰りと呼ばれそうだな。しかし今後はノーフォークにいて、何もしないわけにもいかないね。もしかしたら議会に行くかもしれないよ」 「失礼な言い方ですが怒らないでください」相手は思わずそう言った。「十年間で一人の人間がこんなに変わったのは今まで見たことがありません」 「植民地に行くのは一か八かの賭けだよ。勝ち残って強い男になるか、さもなければ負け犬になるか。わたしはもう少しで負け犬になるところだった。しかし危ういところで態勢を立て直したのだ。あの試練がなければ、今頃は何の役にも立たない男になっていたろうね」 「こう言ってよければ」とミスタ・マンガンは父親譲りの大げさな調子で言った。「生まれ変わったあなたと初めてお会いしたわけですが、あなたがお金を儲けたことに対してだけでなく、あなたがお変わりになったことに対しても心からお喜び申しあげたい」 「そして、これから成し遂げようとしていることに対してもね」ドミニーは目に不思議な光を湛えながら、やや硬い面持ちで笑った。

公爵夫人とそのお相手が立ちあがった。前者は出て行こうとするとき弁護士の姿を認めて、優雅に足を止めた。 「ご機嫌いかがです、ミスタ・マンガン。レスタシャーのあの厄介な借地人のことは、うまく取り計らっていただいているでしょうね」 「もうすぐご報告をいたしますよ」とマンガンは彼女に請け合った。「失礼ですが、こちらのご親戚を覚えていらっしゃいますか。外国からお戻りになったばかりのサー・エヴェラード・ドミニーです」 直前に立ちあがっていたドミニーは手を差し出した。公爵夫人は背の高い、上品な女性だった。ほんのわずか白いものが混じった豊かなブロンド、非常に美しい茶色い目、少女のような顔色の持ち主で、さらに彼女自身が告白した言葉でいうと、おさんどんのような立ち居振舞をするのだが、一瞬、返事もせずに彼をまじまじと見つめた。 「サー・エヴェラード・ドミニーですって？」彼女はそうくり返した。「エヴェラード？まさか！」 差し出された手は即座に引っこめられ、ためらいがちな微笑みが唇から消えた。弁護士は二人の断絶のなかに飛びこんだ。 「わたしが請け合いますよ、公爵夫人」と彼は熱心に言った。「こちらは間違いなくサー・エヴェラードです。数日前にアフリカからお戻りになったばかりです」 公爵夫人はそれでも信じられなかった。どこまでも気のよい人なのだが、生まれつき頑固なのだ。 「とても信じられないわ。じゃあ、テストするわよ。わたしたちが最後に会ったのはいつ？」 「ウースター・ハウスでした」すばやい返事が返ってきた。「お別れを言うためにお訪ねしました」 公爵夫人は少しひるんだ。目は和やかになり、かすかな微笑が唇の端に浮かんだ。彼女は突然ひどく魅力的な女性になった。 「お別れを言いに来て、それから？」 「わたしを試していらっしゃると考えてよろしいですか？」ドミニーは直立の姿勢を取り、彼女の目を見据えた。 「お好きなように」 「あのときは今日よりももう少し親切でいらしゃったのに。あなたはこれをくださいましたよ」彼は手帳から小さな写真を引っ張り出した。「そして許可を与えてくれましたね――」 「なんてことでしょう、そんなもの、おしまいなさい」彼女は大声を出した。「もう一言もおっしゃらないで！大きくなった甥のセント・オマールが勘定を払っているわ。彼に聞かれちゃう。今日の午後の三時半に会いにいらっしゃい。一分だって遅れてはだめよ。ほら、セント・オマール」彼女はそばに立った若い男のほうを振り向きながら言った。「こちらはあなたの親類のサー・エヴェラード・ドミニー。とんでもない人だけど、握手してからついていらっしゃい。仕立屋をもう三十分も待たせてしまったわ」 セント・オマール卿はかすかに笑って新しく見つかった親戚と握手を交わし、弁護士に向かって気さくに頷くと叔母の後を追ってレストランを出た。マンガンの表情は晴れ晴れとしていた。 「サー・エヴェラード！」彼は感嘆の声をあげた。「あなたに神様の祝福がありますように！あんなふうに自分のしたことが自分にはね返ってきた女性がいたでしょうか！公爵夫人の赤面なんて――初めて見ましたよ！」

